のらんぼ村は...
農を楽しむ大人たちの故郷
野良で遊ぶ子供たちの原っぱ
自給自足する小さなコミュニティ
みんなで耕し、種を播けば、大地は豊かな実りで応えてくれる。
そこでは、人々は、お金がなくてもこころ豊かに暮らしていける。
水も空気も、米も、野菜も、新鮮でおいしい。
何よりも子供たちが、虫を追いかけ、草にたわむれ、自由にのびのびと育っていく。
のらんぼ村は、新しい暮らし方、新しい国の形
みんなが助け合い、コミュニティのために汗を流せば、年をとっても生涯現役!
1 『農のある遊び』『農のある暮らし』の体験フィールド!
2 新規就農者の若者~中高年の実習農場、二地域居住者や移住の支援
3 地域のすばらしき里山の景観を再生、保全
4 農薬・化学肥料は一切使わず、生き物と共生する有機の里つくり
5 環境創造型の有機稲作を中心として、麦・大豆など基幹穀物の地域自給
6 森の資源を活かして、自然エネルギーの実証実験
7 協同出資・協同労働・協同利用の協同組合原則による開かれた運営
提 言
自給型農園からFEC自給圏へ
のらんぼ村代表 五辻 活
1. FEC自給圏とは
1)「FEC自給圏」を最初に提唱したのは、経済学者の内橋克人氏である。氏によれば、F=Fooð(食料)、E=Energy(エネルギー)、C=Care(医療福祉)の三つを基幹産業とする地域循環経済=自給圏を創出していくことが、21世紀日本の大きな政策課題となる、という。
利益と効率を優先する新自由主義と、それが作りだした投機的なグローバリゼーションに従属したモノづくりはもう限界に来ている。失業と貧困の格差社会を解決するには、自分たちのすむ地域の豊かな資源を見直し、持続可能な社会として次世代につないでいくような、高い理念にもとづく社会改革が必要である。食料と仕事を保証し、地元の資源を活用し、互いに助け合う足腰の強い地域コミュニティ、FEC自給圏の形成、その基礎単位としての使命共同体、そこに「新たな協同」が目指すべきゴールがある、と。
2) 2019年2月に中野で「関東にFEC自給圏を」というシンポジウムが、ECOM(エココミュニケーション)というNPO(代表:森 良氏)の主催で開催され、私はそこで初めて「FEC自給圏」なるものを知った。10ほどの地域レポートがあったが、肝心の「置賜(おきたま)自給圏構想」代表の菅野氏がインフルエンザで欠席だったが、それぞれ個性はある「地域再生・活性化」活動の報告・交流であった。その一つ一つが「FEC自給圏」というわけではなく、「関東にFEC自給圏ネットワークを創ろう」という呼びかけであったが、何をもってFEC自給圏というのか、もう少し明確な方向付けが必要であったと思う。
2.「FEC自給圏」の議論の前提——地域が自立的に持続していく「構想」=戦略づくりを
FEC自給圏づくりは、自分たちが住んでいる地域を、持続可能な循環型共生社会に変えていくために、必要な条件としての、高い理念と戦略的な構想を持ち、不断にその実現に向けた課題を具体的に検証していくことである。
●時間的・空間的に、のらんぼ村の自力で実現できるFEC
●自分たちに不足しているが、「北杜市」さらには「山梨県」レベルで、他の団体が実現している分野との具体的提携と、地域構想や理念をめぐる交流。
●自治体との連携と、ECOMがめざす「関東ネットワーク」等との連携。
3. 各地の実践例
ここで、私が現在知りえている先進的な「FEC自給圏」の三つの事例を見ておきたい。
かって女性旅行家イザベラ・バードが「東洋のアルカディア」とたたえた山形県置賜地方。そこで米づくりと自然養鶏を営む菅野芳秀氏ら「置賜百姓交流会」の仲間たちは、自給を基本とした新しい国(地域)のあり方を目指して活動する。長井市のレインボープランとして「生ごみ堆肥化」事業が、市街地世帯全員が参加する「土づくりへの台所からの参加」として定着し、その運動はさらに「命の循環を大切にした地域社会」づくりに発展し、3市6町をまきこむ「置賜自給圏推進機構」が年に設立された。現在①地産地消に基づく県内流通の推進、②自然と共生する安全安心な農と食の構築、③教育の場での実践、④医療費削減の世界モデルへの挑戦、のつの目標のもとに、つの取り組み課題を設定し、部会ごとの事業化に取り組んでいる。(現在のところ、「生ごみ堆肥化」以外の事業についての情報は得られていない。)
● 開園以来年、有機のみかん農業を軸に「山と海と里が共生する地域づくり」を推進してきた地域協同組合「無茶茶園」は、年ビジョンとして「FECW(W=雇用)の自給圏づくり」を宣言。年以降進めてきた福祉事業の充実をはかりながら、ゆりかごから墓場まで、地域が必要とする仕事を起こし、高齢農家、新規就農者、外国人研修生が一体となったコミュニティの担い手として、元気なうちは地域や社会に役立つ仕事をし、困ったときは互いに助け合う運命共同体(ゆい)の再生=「新しき村づくり」をめざしている。
● 生活クラブは、~年の中期計画において「FEC自給圏づくり」を掲げ、庄内地域の酒田市や提携生産者協議会と共に、F,E,Cを地域内で自給する体制を整える中で、移住を含めた住み続けたい参加型のまちづくりを進めている。
*月日、「協同組合によるローカル取り組み推進の現状と可能性~FEC自給圏ネットワークと地域循環共生圏」シンポジウムが、(環境・持続社会研究センター)の主催で東京で開催される。ここでの実践報告の中心が「庄内地域における自給ネットワーク構想の取組み」である。 (⇒新型ウイルス感染リスクのため、延期となりました。)
4.のらんぼ村の目指すもの
1).のらんぼ村は食糧自給を目指す途上にある。もちろん完全自給ではないが、いざ災害で孤立した時に、みんなで分かち合って「生きていける」食べ物は十分ある。土水庵は井戸水だから、電気さえ確保すれば水には困らない。冬の暖房も樹を伐採して薪をストックしておけば、ストーブにも煮炊きにも使える。
2)これからの「自給圏」構想のために、次のような課題を共有し、実現に向けて議論していきたい。
①.北海道や千葉のように、電力が長期間不通となったらどうするか。ソーラーなど東電に売電する時代から、蓄電池を備えて家庭用小規模エネルギーを自給する時代に変わりつつある。風力や小水力初め、小規模エネルギー技術の開発とコストパフォーマンスの研究が必要だ。
②.Careの分野では、次のような課題を検討すべきだろう。
イ) 高齢者が車に乗れなくなった時の「送り迎え」など、自らの助け合いの具体化。
ロ)「だんだん会」(北杜市/小規模多機能型訪問看護・介護サービス)など、「在宅で最後まで暮らしたい」を支える看護・介護のネットが少しずつその輪を広げている。これと結びつきたい。
ハ)託老所と託児所を一緒にするような、たまり場、食事処として、CAFEの開設(土水庵?地区の空き農家?)などなど。
小さくても、できることを計画化し、やっていきましょう。 以上