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執筆者の写真のらぼ爺

経済の好循環


ときは12月、ある村の町。 雨にぬれる小さな村は活気がなく、すっかりさびれていた。 人々は借金を抱えて苦しい生活をしていたのである。 その町へ、一人の旅人がやってきた。 旅人は町に一つしかないホテルに入ると、受付のカウンターに1万円札を置き、部屋を選ぶために2階へ上がって行った。 ホテルの主人はその1万円札をひっつかんで、借金返済のために肉屋へ走った。 肉屋は同じ紙幣を持って養豚業者へ走り、1万円の借金を返した。 養豚業者はその紙幣を握ると、つけにしてあった餌代と燃料代を払うために販売業者に走った。 販売業者は1万円札を手にすると、コロナ禍の厳しいご時世にもかかわらず、つけでお相手をしてくれた町の遊女に返そうと彼女のもとに走った。 遊女は1万円札を懐にしてホテルに走り、たびたびカモを連れこんだホテルに借りていた部屋代を返済した。 ホテルの主人は、その1万円受け取ると、札をカウンターの元の位置に置いた。 ちょうどそのとき、部屋をチェックして2階から降りてきた旅人が、どの部屋も気に入らないと云って1万円札をポケットにしまいこみ、町を出て行った。 誰も稼いでないけど、町中の誰もが借金を返し終わり、町は活気を取り戻した。 ほんとに活気を取り戻したのでしょうか?



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